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2012.10.04 23:25


『その日ふたつ事件があった。
ひとつは一時的にせよ世間をにぎわし、
ひとつはひっそりと家のなかで起きた。
そのどちらをも実時間で見ていたのは、
藤代家では良嗣ただひとりだった。』


またまた角田本。
でも今回は久々のどっしり長編です。
bookツリーハウス


新宿で中華料理店「翡翠飯店」を営む藤代家。
そこに暮らす親子3代の家族と、なぜかそこに入り浸る叔父と叔母。
そんな彼らの長い長い物語です。

この藤代家の人間たち、とにかくみんな事なかれ主義というのか
何事にも無気力、無関心を装うのです。
長男がふらりと家を出て5年も帰らないことも。
長女が祖父の葬儀の日に妊娠して帰ってきても。
叔父が定職も持たずごろごろしていても。

誰も怒るどころか、まるで何事もなかったようにふるまい
ただ受け入れ、慣れ合う毎日。
それは寛容などではなく、ただ流されているだけだ、と末っ子の良嗣は思う。

初めはこの何考えてるんだかわからない空気が不快で
全12章のうち、3章くらいまでは読むのをやめてしまおうと思いながら読んでいました。

けれど、祖母ヤエの思い出をたどるために満州の旅をつづけるあたりから
この家族がただ薄っぺらなだけでないことが明かされてゆくのです。

家族のさまざまな人間が登場するにもかかわらず
ひとりひとりの背景が細かく描かれていて
いつのまにかするすると壮大な物語にのみこまれてしまいます。

ヤエと泰造の夫婦が、満州で子供を産み、その子供を失くしたとき
泰造が声をあげて泣くところなどは、せつなくて涙が止まりませんでした。

タイトルのツリーハウスのように根っこのない家庭を嫌悪していた良嗣が
家族を作るものが実はなんであるかを悟るラストも爽やかです。

大恋愛だとか、サスペンス的な部分はないれど
角田さんの今回の長編もかなりはまりました!

ツリーハウス/角田光代  469P
お気に入り度:★★★★☆
第22回(平成23年/2011年)伊藤整文学賞受賞

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テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 角田光代 長編小説

| *角田光代 | |


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