--.--.-- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | |

2012.10.21 21:56


『パン屋再襲撃の話を妻に聞かせたことが正しい選択であったのかどうか
僕にはいまもって確信が持てない。
たぶんそれは正しいとか正しくないとかという基準では
推しはかることのできない問題だったのだろう。』


電車で出かける時は、文庫本が必需品です。
でないと、電車の中で手持ちぶさたで落ち着かないのです。
なのに・・・この日はうっかり忘れてしまって。
駅の売店でとりあえず買ったのがこの本でした。
bookパン屋再襲撃


何度か読んだ気がするから、家のどこかにある気がするけど。
でも久々に読んでみたくなってしまって。
村上さんの短編は、独特の世界があって大好きなのです。


夫がうっかり漏らした、過去のパン屋襲撃の話を聞いて
妻はもう一度パン屋を襲おうと言ってきかず、カローラで夜の街に出る・・・(パン屋再襲撃)

ある日、動物園から忽然と消えた象と飼育員。
その前夜の一部始終を、僕はこっそり見ていた・・・(象の消滅)

妹の婚約者と会ってくれと頼まれた兄。しかし気が進まない上に、彼が気に入らない兄は
子供っぽい小さな抵抗をする・・・(ファミリー・アフェア)

ふと手にした写真雑誌に、かつて一緒に暮らしていた双子の姉妹の姿を見つけた男は
思い出に浸り、変わった夢を見る・・・(双子と沈んだ大陸)

日曜日にはいつも日記をつける習慣のある僕。
外には嵐のように強い風が吹いていた・・・(ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起
                            ・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界)

迷子になった猫、ワタナベノボルを探して、ある路地に迷い込んだ僕は
ねじまき鳥が鳴くその露地で、不思議な少女に出会う・・・(ねじまき鳥と火曜日の女たち)


・・・・・こうやってあらすじを書くと、身も蓋もないのですよ、村上ワールドは。
ストーリーうんぬんではなくて、半分リアルで、半分空想の中、みたいな
その心もとない、半透明な空気感。
まるで、ゆるーく固めたゼリーの中を、ゆっくり前進しているような?

ここに納められたすべての作品に、そのどこかひんやりとした肌触りを感じて
短編集だというのを忘れて、彼の世界に深く入り込んでゆくのです。

ところでつい先日、日本の動物園で鹿が忽然と消えてしまったというニュースが流れました。
高い柵を越えられるわけもなく、監視カメラに怪しい人物も映っていない。
飼育員も首をかしげたこの不思議な事件。
村上ファンならきっと、まっさきにこの「象の消滅」を思い出しましたよね!

■収録作品■
「パン屋再襲撃」
「象の消滅」
「ファミリー・アフェア」
「双子と沈んだ大陸」
「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」
「ねじまき鳥と火曜日の女たち」

パン屋再襲撃/村上春樹  234P
お気に入り度:★★★☆☆


↓ぽちっとお願いしますっ
にほんブログ村 写真ブログ 料理写真へ
スポンサーサイト

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 村上春樹 短編小説集

| *村上春樹 | コメント(0) | トラックバック(0) | |

2012.09.14 01:00


『眠れなくなって17日目になる。
不眠症の話をしているわけではない。
不眠症のことなら少しは知っている。
大学生のとき一度不眠症のようなものを体験した。』


村上春樹の短編を読みました。
bookねむり


これは元々、短編集に収録されていた「眠り」という短編に
新たに手を加えて、ドイツ人イラストレーターの絵と、装丁が加わっています。

主人公は歯科医の夫を持つ、一見普通の主婦。
ところが彼女はある日突然「眠れなく」なるのです。
1週間、10日、とまったく眠れないのに、彼女は衰弱するどころか
ますます冴えわたり、研ぎ澄まされてゆきます。
そしてある本を読むことに没頭し、昼も夜も本を読み続けます

夫に隠れて甘いチョコレートを食べ(歯科医の夫は甘いものを嫌がります)
本を読み、ひとりになるために夜の街に車を走らせます・・・・

ラストはドキッとするような怖い結末が待っています。
ホラーとファンタジーをひとさじ加えたような、幻想的な世界に入り込みました。

ただ、この仰々しいイラストはどうなんだろう・・・。
なんだか私の中の村上作品とは、ちょっと違うんだよなぁ。
やっぱり佐々木マキさんのいい意味でリアルさのない感じが好きだな。


ねむり/村上春樹  88P
お気に入り度:★★★☆☆

↓ぽちっとお願いしますっ
にほんブログ村 写真ブログ 料理写真へ

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 村上春樹 中編小説

| *村上春樹 | コメント(0) | トラックバック(0) | |

2012.07.24 20:40


『図書館はいつもよりずっと、しんとしていた。
ぼくはそのとき新しい革靴をはいていたので、灰色のリノリウムを歩くと
こつんこつんという硬く、かわいた音がした。
なんだか自分の足音じゃないみたいだ。』


村上春樹の小説のなにが好きかって、その冒頭の部分。
開けたことのない扉の前に立って、恐る恐るドアを押してみるように
初めから一気にその本の世界に引き込まれていってしまうのです。

bookふしぎな図書館

「ぼく」はある日、本を借りに行った図書館で地下室に閉じ込められてしまいます。
そこで出会った羊男と、美しい謎の少女の助けを借りて
「ぼく」は脱出を試みるのです。

絵本のような、童話のような、ミステリーのような、SF小説のような。
なんとも不思議で怖い話なのですが、それが村上春樹の世界でもある気がします。

彼の作品の中にはよく食べ物のシーンが出てくるのですが
ここでも謎の少女が運んでくれる「うにのスープにさわらのグリル、白アスパラのごまあえなどのディナー」や
羊男が作る「外側がカリッとして、中がとろけるように柔らかいドーナツ」!!

村上作品にはおなじみの、佐々木マキさんのイラストも不思議ワールドを醸し出しているし
ラストも不思議なまま幕を閉じてしまいます(笑)
でもその余韻はいつまでも心地良く続き、とりこになってしまうのですよね。

ふしぎな図書館/村上春樹   92P
お気に入り度:★★★★☆

↓ぽちっとお願いしますっ
にほんブログ村 写真ブログ 料理写真へ

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 村上春樹 短編小説 絵本

| *村上春樹 | コメント(4) | トラックバック(0) | |


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。