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2012.12.17 00:00


『冷凍食品のお好み焼き、メーカーは加ト吉、おにぎり二個、いくらとチキンマヨネーズ、
ペットボトルの冷たいお茶が切れている、アーモンドチョコレート、
素麺のつゆ、単四電池四個、発泡酒ロング缶三缶、というのが、
携帯に電話をかけてきてヤスオが頼んだ品々で、
私はそれを復唱しながらコンビニエンスストアの店内を歩く。』


bookエコノミカルパレス

34歳フリーターの「私」は、同じくフリーターのヤスオと小さなアパートで同居している。
ヤスオは「タマシイがない」と言っては、派遣の仕事をあっさりと辞め
せっかくもらえる失業保険も、ハローワークの面接に行かなかったことで
認定が下りずお金を受け取れない。

一方の主人公も、なかなかフリーターの域を抜け出せず
コンビニ代はだれが出すだの、預金残高がわずかだのと
お金の心配ばかりしている。

なんだかね、けっこう身につまされるシーンばかりで
くらーい気持ちになってしまうのですよ。。。
一文無しの友達が転がり込んでくるとか、消費者金融で借りたお金で洋服を買ってすっからかんとか
なにやってるんだろうな~って、ひとつも共感できないんだけど
このザワザワする嫌な感じとか、抜けだせない蟻地獄感みたいなのを書かせたら
角田さん、ほんっとに上手いなぁって思うんですよね。

エコノミカル・パレス/角田光代  177P
お気に入り度:★★★☆☆

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タグ : 角田光代 長編小説

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2012.12.16 21:15


『夏休みの第一日目、私はユウカイされた。
なんの予定もなくて、家にはだれもいなくて、
寝転がって見ていたテレビに映った、新発売のアイスクリームが美味しそうだったから、
買いにいくつもりで家をでた。』


bookキッドナップツアー

小学5年のハルは、夏休みのある日「ユウカイ」される。
しかも「ハンニン」はハルのお父さん。

物語はハルの目線と言葉で淡々とつづられてゆきます。
小学生らしい反抗で、行く先々で出会う人に対しても不機嫌になったり
お父さんにもふてくされた態度をとるハル。

この年頃の子どもって(特に女の子?)、大人って嘘つき、って思ったり
よその家の茶の間が居心地悪かったり、夕暮れどきなんだか不安になったり
海で出会った女の子と友だちになったり。
子どもの頃のこういった感覚って、大人になっても覚えていたりするものです。
ハルの小さな反抗もなんだか覚えがあるなぁ。

私たちの真ん中でつないだ手はブランコみたいに揺れ続けた。
月は小さく真っ黄色で、私の手はほんのりあたたかい大きなてのひらの中にあって
道の先ににじんだ明かりが、いつまでも近づかなければいいのに、とそんなことを思った。


ただ、父と母が繰り返し電話で話す「取引」とは何だったのかとか
どうして突然誘拐をし、とつぜんやめてしまったのか。
そういう大人の都合が描かれていないので、ちょっとすっきりしない終わり方です。
なんでも結果が知りたくなる「オトナ」には・・・どうかな?

キッドナップ・ツアー/角田光代  212P
お気に入り度:★★★☆☆
第46回(平成11年/1999年)産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞
第22回(平成12年/2000年)路傍の石文学賞受賞

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タグ : 角田光代 長編小説

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2012.12.13 01:23


『長谷川カヤノは悩んでいた。
三十二年間生きてきて、はじめて恋人ができたというのに
なんというか、今ひとつもりあがりが足りないのだ。
足りないような気がするのだ。
なんか、恋愛って・・・・と、長谷川カヤノはひとりきりのときに考える。』


何年か前、角田ファンになる前に一度読んだこの本、再読しました。
bookAllSmallThings

短編集って物足りなくてあまり得意ではないけれど、連作短編集は別。
さまざまな人物の短いストーリーが、次の話に少しずつ重なりながら
リレーのようにバトンをつないで進んでいきます。

32歳にしてはじめて彼氏ができた、長谷川カヤノ。
彼とのデートは、週末家でごろごろしたり、夕飯を家で食べたり。
思い描いていたようなおしゃれなデートはしてくれない彼に
これは「恋愛」ではないんじゃないか、と思い悩みます。

そしてカヤノは、友人の田口さと実に質問するのです。
「ねえ、今までで一番印象に残っているデートってどんなの?」

そうして自分の印象に残っている、けれど冴えないデートを思い出しながら
さと実もまた別の人に質問を重ねるのです。その相手は彼女の夫、田口寿史。

そして寿史は部下の比佐子に。
比佐子は姪のまりんに。
まりんは祖母の泰子に。
泰子はスポーツクラブのインストラクター、香に。

質問はちょっとずつ形を変えながら、彼女たちの思い出に触れながら
人間関係の輪の中をぐるっとめぐっていきます。
そしてやがてカヤノは、ひとつの答えを手にするのです。


私がふと思い出した小さなデート。
それは彼の友人の家に遊びに行ったときのこと。
高速に乗って2時間余りの車の中。
半分に切ったキウイをスプーンで食べる私を見て
「スプーンでキウイ!しかも車の中で!」って笑いながらも
なぜかその状況にハマって、二人でいくつも食べたっけ。
そして到着して、友人のお母さんが用意してくれていたのは、なんとキウイ!(笑)
もう笑いこらえて一生懸命食べたけど、帰りの車でまた大笑い。

バブリーな時代もあったけど、思い出すのはこんなちっちゃな思い出。
でもそんなもんじゃないのかなぁ。

小説としてはとっても短くて、とっても軽い印象。
けれど読む人はみな、きっとそれぞれのちっちゃな恋を思い出すのだろうな。

All Small Things/角田光代 125P
お気に入り度:★★★☆☆

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タグ : 角田光代 連作短編集

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2012.12.13 01:12


『薄いみず色の封筒を開け、カードを取り出してしげしげと眺め、
「うげ」蒲生充留は顔をしかめた。「趣味わる」
「なになに」台所で、冷蔵庫をのぞきこんでいた北川重春が
ふりかえって訊く。』


book三月の招待状

大学の同級生の正道と裕美子夫婦から、離婚式の招待状が来た。
離婚式!?
招待状を受け取った充留、麻美、宇田男は式に駆けつけ、久々の再会を果たします。
そして彼らの関係は、それぞれの恋人や夫を交えながら微妙に変化していきます。

大学というものにまったく愛着がない、充留の恋人重春から見たら
「わちゃわちゃしてて、愛校精神に縛られているような」彼らだったけど
仕事に悩んでいたり、夫の関係に悩んいたり、昔の恋に悩んでいたり。

学校を卒業して、仕事をするようになったり、家庭を持ったりする年齢って
子供の頃はずいぶんこなれた大人のように見えていたけど
実はまだちゃんと大人にはなれていないように思います。

夫との生活に希望を持てなくて、同級生の宇田男に惹かれていく麻美は
角田さんの作品にたびたび出てくる、ちょっとめんどくさい勘違いキャラ。
思い込みが強くてあまり関わりたくない感じなんだけど
つい怖いもの見たさで観察しちゃうんですよね(笑)

三月の招待状/角田光代  281P
お気に入り度:★★★☆☆
第16回(平成21年/2009年)島清恋愛文学賞候補

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タグ : 角田光代 長編小説

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2012.12.13 00:54


『ずっと調子がよくないと何気なく口にすると
朝食をしっかり食べるとか、気に入ったカップラーメンを毎日食べるのを止めるとか
煙草を止めるとか、運動をするとか昼寝を止めるとかすればいいんだよ、とタクジは言う。
でもそんなのはサエコが高校生の頃からやっていたことなのだ。』


bookピンクバス

妊娠がわかって、嬉しいような戸惑うような不安定な気分の中、
サエコの家に、夫の姉の実夏子が突然やってくる。
世離れしたようなちょっと不思議なところのある実夏子は、サエコに向かって
「妊娠なんて、おなかに他の人間がいるなんて気持ち悪い」と言い放ったり
弟と額を寄せ合って小声でしゃべったり、窓際にたくさんのぬいぐるみを並べたりして
サエコをさらに不安な気持ちにさせる。

このお姉さんがほんとに気味が悪いんですよ!
なんでそうなったかが詳しく描かれていないのが、よけいに不気味。
けどね、それを言うなら主人公のサエコも、読んでいくうちにじわじわと
変なところが浮き出してくるんだよなぁ。
サエコはこれまでもずっと、不都合な思い出や記憶は、綺麗に忘れ去ってきたのです。
学生時代に決心して不良になったけれど、お嬢様ブームになるとあっけなく「記憶の大掃除」をして
何度も人格を変えてきた。そんな過去がわかってきます。

特にホームレスのレゲ郎(レゲエ野郎)とともに暮らす日々は
気分が悪くなるほどリアルでした。
初期の頃の角田さんの作品って、なんだか抽象的でよくわかんないなぁっていうのが正直な感想。

もう一編、「昨夜はたくさん夢を見た」はもっと理解に苦しむ作品でした・・・
カオルと恋人のイタガキ、そして彼らの仲間がつるむゆるいつながりの話(?)なんだけど
文章がこれまた抽象的で、何度読んでも頭に入ってこなくて^^;
こんなに薄い本なのに、読むのにかなり時間がかかってしまいました。

ピンク・バス/角田光代  181P
お気に入り度:★★☆☆☆
第109回(平成5年/1993年上期)芥川賞候補『ピンク・バス』
第15回(平成5年/1993年)野間文芸新人賞候補『ピンク・バス』

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タグ : 角田光代 中編小説集

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2012.12.10 23:00


『だれか一人を殺してもいいと神様に言われたら、肉屋の主人を狙う。
あの肉屋は物心ついたときから嫌いだった。
ロースハムと牛肉を包みながら、まるでわざとみたいにほかの客とつばを飛ばしてしゃべり続け、
顔を背けたまま包みを渡す。
渡す、というより私のいるらしき方向を確かめもせず放り投げる。』


角田さんの短編集を読みました。
bookロック母

黒い表紙に、ロック!?
なんとなく写真で見かける角田さんのほんわかイメージとはかけ離れますが
エッセイなどを読んでいるうちに、意外とロックな方と知ったのです。
実は今のご主人もミュージシャンだとか。

ここに収められた7編の短編は、なんというかすべて居心地のよくないお話です。
家族に振り回される話が4つと、海外の習慣の違いに振り回される話が3つ。
これがね、またどれもこれもいやーな話なんです。
あちこちに怒りが充満し、爆発しています。
この人はほんとにこういう人間の嫌な部分、毒の部分を書くのがうまいなぁ。
ほんとに読んでいてどっぷりと嫌悪感に包まれるのですが、
なんていうか、猛暑の中汗をかきながら熱くて辛い物を食べたらさっぱりした、みたいな
読後は爽やかな気にさえなってしまうような。

ちなみに読んでて一番私が怒ったのは「爆竹夜」。
面白いとか感動したとかじゃなく、怒りで印象に残らせるってすごい。


■収録作品■
「ゆうべの神様」
   毎日こっぴどい喧嘩を繰り返す両親。噂話の大好きな下品な近所の人たち。
   こんな町は大嫌いなのに愛想笑いをしてしまうマリコと、緑の髪のガンジは
   お互いをずっと忘れずにいるのだろうか。
「緑の鼠の糞」
   タイの小さな町。雑踏。熱風。土埃。乾き。ビール。辛いスープ。緑の唐辛子。
   この町で出会ったコウちゃんとは、もう二度と会わないつもりだった。
「爆竹夜」
   旧正月で浮かれるこの国、この町で、屈辱ばかりを味わった。
   人はずる賢いし、秩序もなく、割り込みや押し合いなど当たり前だった。
「カノジョ」
   この部屋には何かいる。家の不具合、おかしな隣人、ソファの下の・・・。
   出ていった前妻のものが残されたこの部屋で、寒々とした出来あいのおかずを食べる二人。
「ロック母」
   十年ぶりの故郷へ、私は父のいない子を産みに戻ってきた。
   私の残していったロックのレコードを大音量で聞く母が住む実家へ。
「父のボール」
   不幸はボールのように坂の上から転がってくる。大嫌いだった父が教え込んだその変な説を
   私たち兄妹はどこかでずっと信じていた。
「イリの結婚式」
   男女が出会い、結ばれる奇跡。私はそれを失った。なくしたのではなく自分で拒んだのだ。
   対立する民族のアミナさんと孫くんはダンスで手を取り合った。

ロック母/角田光代  262P
お気に入り度:★★★☆☆
第32回(2006年) 川端康成文学賞受賞(「ロック母」)
第108回(1992年下期)芥川賞候補(「ゆうべの神様」)


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タグ : 角田光代 短編小説集

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2012.10.21 22:07


『公園の緑はいっそう深くなり、姿を見せない蝉が競うように鳴いている。
扇風機を強にして、畳に寝そべり、女性誌をめくっていた繁田繭子は、
「一日限定二十食 魅惑のミルクプリン」を売る代官山のケーキ店を
赤いサインペンで囲み、首にかけたタオルで額の汗を拭う。』


最近目が疲れやすいので、せめて夜はPCを控えめにして、読書をしています。
と言いつつ、角田さんの長編はつい夢中になって夜更かししてしまうので
ほんとに目にいいのか!?って思っているんですけど(笑)
book森に眠る魚

怖い本だとは聞いていましたが、なるべく評判をシャットアウトして読みました。
いやー、ほんとに怖い!けれど怖いもの見たさでぐんぐん引き込まれて
結局週末の半日ちょっとで一気に読んでしまった。

前半で、ん?これ読んだことあったかな?って思い当るのですが
すぐに気付きました。少し前にTVドラマでやっていた、恐怖のママ友ドラマにそっくりなのです!
この小説の刊行のほうが先なので、ドラマの脚本が参考したのかもしれませんが
登場するママたちの行動やら、生活ぶりがほんとそっくり。

繭子、千花、容子、瞳、かおりの5人の母親たちは
一見どこにでもいる、まぁちょっと子供の教育に熱心な女性たち。
子供の年も近く、いい友達に巡り合えた、と喜んでいたのに。
ほんのちょっとした嫉妬や、不安、気の回し過ぎから小さなほころびができてゆくのです。

私自身は、お受験とか、幼児教室とか、公園デビューという場所に
身を置いたことがないので実感はいまひとつですが
ママ友の世界って多かれ少なかれあるんでしょうね、実際に。
子供を中心とした小さな世界で、他人の言動に疑心暗鬼になったり、陰口や噂話が飛び交ったり。
そして子供の出来を比べ、夫の収入を比べ、住まいを比べ・・・

誰にでも心の奥底に持っていそうな心の闇、ブラックな毒の部分を
今回も角田さんはなんと見事にすくい上げているのでしょう!
彼女はまず冒頭で、キラキラと楽しげなママ友の交流の様子を描いて読む人を安心させておき
そのあとでじわじわと違和感が、薄いグレーの霧のように立ちこめるのです。
角田さんはその様子を、「ぽとりとしたたる滴のように、瞳はかすかな不安を抱く」とか
「広がっていく違和感に蓋をするように」などと鋭い表現をするのです!

いろんなことがあったのち、彼女たちは救われたのでしょうか。
子供が希望する学校に合格した母もいれば、不合格だった母もいる。
そして家を手放した母もいれば、念願の第2子を身ごもった母もいる。
けれどそれで幸せになったかどうかは、その人の心の持ちようと描かれているラストが
とっても興味深いものとなっていました。

森に眠る魚/角田光代  365P
お気に入り度:★★★★☆

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2012.10.13 21:00


『性交した。夫はすぐに眠ったが私は眠れず
起きて服を着て、ベランダにいって煙草を吸った。
日中は雨が降っていたのに夜空は晴れ渡っていて
濃紺の空には厚ぼったい雲までかかっている。
いくつか星が見えた。
すっと一筋、こぼれおちるみたいに星が流れた。


book予定日はジミー・ペイジ

ある晩、マキはベランダで流れ星を見ながら、突然、子供ができたかも、と思います。
そしてその思いは実際のものとなり、マキは身ごもるのでした。
しかし、夫や周囲の人々が手放しで喜び、おめでとうと言ってくれるのに
マキは不思議な気分に陥ります。
それが嬉しいことなのかまったくわからないのです。
そして、素直に喜べず、そんなふうに考えてしまう自分に自己嫌悪になるマキ。

そんなことはおかまいなしに成長していく赤ちゃん。
夫に八つ当たりしてみたり、同じような妊婦さんのブログにコメントをしたり、
プレママクラスに参加してがっかりしたり。
そうやって自分の感情をあちこちにぶつけていきながら、知らず知らずのうちに
赤ちゃんと一緒にマキも成長していったのでしょうね。

それにしても角田さん、出産経験はないというのに
この妊婦期間の心の揺れ動きのリアルさったら!
そうなんですよね、とくに初めての妊娠って不安やとまどいはたくさんあると思う。
なのに周りは、おめでとう!よかったね!名前は決まった?とどんどん先へ進んでしまう。
妊娠期間はよく、十月十日(とつきとおか)というけれど
それは赤ちゃんの育つ期間でもあり、母親となっていく期間でもあるのでしょうね。

なんだかいろいろ忘れていた気持ちが蘇ってくるようで
読みながらときどき、鼻の奥にツーンとこみ上げてくるものがありました。
すごくすごくよかった!
妊娠なんて考えたこともないときに読むのもいいと思うし
妊娠中に不安になったときも、出産後育児に疲れたときにも
そして私のように新鮮な気持ちを忘れかけた人にも(笑)
とってもおすすめしたい本です。

ときどき出てくる、ささみとセロリのサラダだの、浅蜊と小松菜のパスタだの、
アボカドと湯葉のサラダだの、豚ひき肉とキムチとトマトの冷やし中華だの、
マキがつくるおうちごはんもすっごく美味しそうで気になりました!

予定日はジミー・ペイジ/角田光代  247P
お気に入り度:★★★★☆

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2012.10.04 23:25


『その日ふたつ事件があった。
ひとつは一時的にせよ世間をにぎわし、
ひとつはひっそりと家のなかで起きた。
そのどちらをも実時間で見ていたのは、
藤代家では良嗣ただひとりだった。』


またまた角田本。
でも今回は久々のどっしり長編です。
bookツリーハウス


新宿で中華料理店「翡翠飯店」を営む藤代家。
そこに暮らす親子3代の家族と、なぜかそこに入り浸る叔父と叔母。
そんな彼らの長い長い物語です。

この藤代家の人間たち、とにかくみんな事なかれ主義というのか
何事にも無気力、無関心を装うのです。
長男がふらりと家を出て5年も帰らないことも。
長女が祖父の葬儀の日に妊娠して帰ってきても。
叔父が定職も持たずごろごろしていても。

誰も怒るどころか、まるで何事もなかったようにふるまい
ただ受け入れ、慣れ合う毎日。
それは寛容などではなく、ただ流されているだけだ、と末っ子の良嗣は思う。

初めはこの何考えてるんだかわからない空気が不快で
全12章のうち、3章くらいまでは読むのをやめてしまおうと思いながら読んでいました。

けれど、祖母ヤエの思い出をたどるために満州の旅をつづけるあたりから
この家族がただ薄っぺらなだけでないことが明かされてゆくのです。

家族のさまざまな人間が登場するにもかかわらず
ひとりひとりの背景が細かく描かれていて
いつのまにかするすると壮大な物語にのみこまれてしまいます。

ヤエと泰造の夫婦が、満州で子供を産み、その子供を失くしたとき
泰造が声をあげて泣くところなどは、せつなくて涙が止まりませんでした。

タイトルのツリーハウスのように根っこのない家庭を嫌悪していた良嗣が
家族を作るものが実はなんであるかを悟るラストも爽やかです。

大恋愛だとか、サスペンス的な部分はないれど
角田さんの今回の長編もかなりはまりました!

ツリーハウス/角田光代  469P
お気に入り度:★★★★☆
第22回(平成23年/2011年)伊藤整文学賞受賞

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2012.09.14 02:00


『おみちゆきは毎晩、村が寝静まったころに行わなければならない。
集落の家々が、もちまわりで行う。
昔は男にしか許されていなかったらしいが
今は女もおみちゆきにいく。』


2011年に出版された、角田さんの新しい短編集です。
bookかなたの子


いつもそうなのですが、本を選ぶときにあまり前情報を入れないようにしています。
まっさらな状態で読み始めたいので。
この本も、角田さんの本というだけで手にとったのです。

8編の短い物語は、どれも「闇」を描いています。
それも、こわーーい闇・・・・。


生きて墓に入った和尚のもとへ、村の人たちが毎晩交代で通う。
そこで征夫が聞いた、墓の下から聞こえる声は・・・「おみちゆき」

同窓会に集う5人の顔ぶれを見て、亮一はぞっとした。
小学3年の夏の記憶が、恐怖とともに蘇ってきたのだ・・・「同窓会」

駅から離れた、寺の隣に立つ古い家を購入した勇作。
しかしその直後から、妻が意味不明なことをつぶやくようになる・・・「闇の梯子」

妻と夫婦喧嘩をした晩、啓吾は昔の彼女の朔美に連絡をする。
少しも変わらない姿の朔美だったが、次第におかしなことを口走る・・・「道理」

私がある晩見た夢。川べりを歩く母と私。私を抱く母。そして母は・・・
やがて子を持った私は、繰り返し見たその夢が現実となる・・・「前世」

子供の頃から見えていた、部屋の隅からこちらを見ている少女。
それは生まれてすぐ亡くなった双子の妹の恨みだと思うのだ・・・「わたしとわたしではない女」

文江は亡くした子に名前をつけて毎日手を合わせていた。姑に固く禁じられていたのに。
子への思いが日に日に募る文江は汽車を乗り継いで、死んだ子に会えるという地をめざす・・・「かなたの子」

日都子はなにも覚えていなかった。なぜひとりでパワースポットめぐりツアーに参加したのか。
自分がどこへ向かっているのか。何をしでかしたのか・・・「巡る」



自分が今どこにいるのか、見えない恐怖。
そして目が慣れてきて、周囲が薄ぼんやり見えてきたときの恐怖。
「闇」と「静けさ」。
子供の頃に怖い昔話を聞いて夜眠れなくなったり、トイレに行けなくなったような
そんなじんわりした怖さがあります。

これはホラーと言えるのでしょうね。こんな分野を書かれるなんて意外でした。
角田さんの作品って、読むたびにまったく異なる印象を与えてくれて
ほんとに毎回驚かされます。


■収録作品■
「おみちゆき」
「同窓会」
「闇の梯子」
「道理」
「前世」
「わたしとわたしではない女」
「かなたの子」
「巡る」

かなたの子/角田光代 229P
お気に入り度:★★★☆☆
第40回(平成24年/2012年)泉鏡花文学賞受賞『かなたの子』

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