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2012.12.21 00:00


『新製品に目移りする。
薄い水色の地に、一面に白抜きでアネモネの模様が描かれた付箋。
フィンランドのデザイナーの手によるものなのだそうだ。
いったいどんな仕事をしている女性がこんなものを買うんだろう。』


カソウスキ、ってなんだろう?
bookカソウスキの行方

機械部品の卸会社に勤める28歳のOL、イリエ。
彼女は後輩のセクハラ相談につい熱くなって直談判したあげく
辺鄙な倉庫に飛ばされてしまう。
倉庫では、カタログを見ながら備品の注文をしたり、シフト表を作ったりと
「しょうもない雑用」をこなす毎日がただ過ぎてゆく。
おまけに身を寄せている友人が結婚することになり、部屋を出ていかなければならなくなり
しかたなく古くてすき間風の吹き抜ける、会社の契約アパートに引っ越す。

そんな希望の持てない毎日だけど、なにか楽しみを見つけるために
イリエは同僚の森川を好きな人に見立てようと決めます。
好きになると仮定する → 仮想好き(カソウスキ)。

なんというかとっても不思議な小説でした。
教訓めいたことはなにも残らない、かるい文章なんだけど
主人公のイリエの考えることや、会話のリズムなんかがすごく面白くて
まるで彼女のブログを覗き見てるような、彼女の日々の行動をこっそり覗いてるような。

たとえば、いつも嫌味っぽい藤村に「体調悪いんですか?」と聞かれて
「ああもう、慰めてくださいよ、泣きたいっすよ、何もいいことがないんですよ、
 せめて付き合おうとか言ってくださいよ」とまくしたてたくなったとか。

シアトルコーヒーの店で、好きでもないコーヒーをいちばん大きいサイズで頼んでしまい
「ほとんどの客がこんな固い椅子に座るのがわかってるのに、なんでこんなすごい量の
 コーヒーを出すんだろう」とひとりごとを言ってみたり。

気が進まないままショッピングモールの福引に並び、くじを引くと
なんと1等のフィンランド旅行が当たってしまい、なぜか「いいです」と言い残して
追ってくる店員を振り切って、フェイントまでかけて全速で逃げ出してしまったとか。

なんかこう抜き出してみると、おもしろさが全然伝わらないのだけど
イリエのつぶやきに沿ってみると、なんとも言えないおかしさがこみ上げてきます。
それは、あははっという笑いではなく、くくくっというひとり笑い。

このほかに、2編の短編が添えられていますが、こちらも本編に負けないくらいの
妄想&ひとりごとのオンパレード。
こういうシュールな笑いって読む人を選ぶかもしれないけど
OLさんの日常あるあるとか、そうそう!ってうなづいてしまうことも多くて
また読んでみたいなと思ったのでした。

■収録作品■
カソウスキの行方
Everyday I Write A Book
   野枝がいいなと思った男シカドには絵本作家の妻がいた。彼女が地下鉄のICカードのデザインをしたことで
   通勤のたびにそのイラストを目にするという切ない毎日。シカドの友人のオサダと会ううち次第に野枝は
   癒されてゆく。
花婿のハムラビ法典 
   ハルオの婚約者サトミは気取りがないところがいいのだが、なにせ遅刻やドタキャンが多い。
   彼はそのうちサトミの行動を数値化して手帳に書き留めるようになる。
   そして彼女の不義理1ポイントにつき自分も不義理で返すことで気持ちの整理をするのだった。

カソウスキの行方/津村記久子  145P
お気に入り度:★★★☆☆
2008年(第138回)芥川賞候補

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タグ : 津村記久子

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2012.12.20 00:00


『ピクニック用の折りたたみテーブルが不要になったので
インターネットのオークションで売ることにした。
四十二歳になる山本紀子には二人の子どもがいるが
下の子が中学に上がってからというもの、家族で出かける機会がめっきり減った。
この夏はとうとうどこにも行かなかった。』


book家日和

家庭の中で起こる小さな出来事。それはさほど大きな事件ではないけれど
ひっそりとかすかにさざ波を起こしてゆきます。
それでもそのさざ波は少しずつ静かになっていき、やがては何事もなかったように
人知れずまた以前の静かな海面に戻ります。

ここに収録された6編の主人公は、どれもふつうの妻と夫。
身近に起こりそうで、でも実際起こったらちょっと取り乱しそうな出来事を
鋭くも温かい目線で描いています。

私が好きなシーンは、2つめの「ここが青山」で、主夫になった裕輔に厚子が駅から帰るコールをしてくることで、その間に海老フライを上げることができることに気付き、自分もそうすればよかったと気付くところ。
逆に厚子は仕事から帰ったとたんに「どうだった?」と聞かれるのはけっこう面倒なことに気付くのです。
仕事をする妻の立場の私は、両方の視点で「そうそう!」とうなってしまった。
一度、立場を入れ替えてみるのっていいかもって思っちゃった。ほんの一瞬だけならね(笑)

■収録作品■
サニーデイ
   子どもも手がかからなくなり、家族の全盛期が終わったと嘆く専業主婦の紀子は
   ふとしたことからネットオークションにはまり出す。
   品物が落札され、現金が手に入り、さらに高評価を得ることで輝きを取り戻していく。   
ここが青山
   会社が倒産し、妻が働きに出ることになった流れで自然に専業主夫となった裕輔。
   周囲からは同情や好奇の目で見られるが、意外に料理も掃除もこなしながら
   小さな喜びを見出してゆく。
家(うち)においでよ
   インテリアにうるさい妻と別居することになり、正春は今までの我慢を晴らすように
   自分好みの家具やオーディオを揃え、自分の城を作り、男のひとり暮らしを堪能する。
グレープフルーツ・モンスター
   佐藤弘子は東京郊外に住む平凡な主婦。一通7円のデータ入力の内職をしている。
   ある日、内職あっせんの営業担当が変わったといって、サーファーのようないでたちの
   日焼けした若い営業マンが現れる。グレープフルーツの香水の香りをさせて。
夫とカーテン
   春代の夫、栄一はいつもの癖で突然会社に辞表を出し、カーテン屋を始めると言い出した。
   ひらめきを頼りに行動する無計画な夫にため息をつきながら、春代はイラストレーターの
   自分の仕事に精を出す。
妻と玄米御飯
   小説家の康夫は、ある賞をとりベストセラー作家となったとたん、妻がセレブ化し
   ロハスに目覚めてしまった。食事は玄米御飯にオーガニック、その他洗剤やヨガにもはまり
   家族にも強いるようになる。康夫はその様子を皮肉った小説を書こうとするが・・・。   

家日和/奥田英朗  235P
お気に入り度:★★★★☆
2007年(第20回)柴田錬三郎賞受賞

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2012.12.19 00:00


『求めていらっしゃるのは、この人ではないでしょうか。
一年前の六月三十日の夜明け前、わたしは両親に気づかれないよう
靴下のままドアを開け、外へ出てから靴をはき、
深い藍色におおわれた空の下を、早足で駅へ向かっていました。』


ちょっと前、向井理主演で舞台化されました。
book悼む人

主人公の坂築静人(さかつきしずと)は、ラジオの報道や新聞記事などを手掛かりに
亡くなった人を「悼む」旅を続けている。
その人たちがなぜ亡くなったかではなく、彼らが誰を愛していたか、
誰から愛されていたか、それを心に刻んでゆくという静人。
ストーリーは、夫を殺した罪で服役した女倖世(ゆきよ)、静人の母で末期の癌を患っている巡子、
そして静人の「悼む旅」に興味を示す記者蒔野(まきの)のそれぞれの目線ですすんでいきます。

静人は物語前半から悼む旅に出かけてゆくのですが、最初はそれがなかなか理解できずもどかしくて。
彼は人が亡くなった現場にひざまづき、独特のポーズで亡くなった人に思いを馳せ悼むのですが
遺族や関係者からは不快な思いをぶつけられ、あるときは不審者扱いをされてしまう。
金銭的にも困窮し、心の均衡まで失いかけてゆく静人。
どうしてそうまでして彼は旅を続けるのか?
私だけではなく、読む人みんなそう思うでしょう、きっと。

けれど物語後半、いつしか共に旅するようになった倖世に対して
少しずつ苦悩の胸の内を告白しはじめるのですが
そのあたりからなんとなく静人の人間味を覗かせてゆきます。

とはいえ、母巡子の容体が悪くなってゆくなか、変わらず悼みの旅を続ける静人の心境や
静人と倖世の心の通い合いのシーンはあまり共感できなかったなぁ。

悼む人/天童荒太  441P
お気に入り度:★★★☆☆
第140回(平成20年度下半期) 直木賞受賞

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タグ : 天童荒太 長編小説

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2012.12.18 00:00


『天から注ぐ西日がグラウンド一面にホースで撒いたような橙を広げている。
無数の小さな靴底がその橙を蹴散らし、光が拡散する。
光の粒子とも砂ともつかないざらざらが立ちのぼり、
うごめく人影を不透明な膜で覆う。』


なんだか謎めいたタイトルに惹かれて読みました。
book架空の球を追う

大きな事件が起こるわけでなく、なにげない日常のひとコマ。
そんな情景をカメラのフレームで切り取るように描いたような印象です。
ミステリー好きの私は、どんでん返しとかラストのオチを期待してしまうんだけど
それはあまり見当たらなかったな・・・
ほんとにささやかなひとコマ、って感じ。

その中で唯一、「あの角を過ぎたところに」は
ラストに不穏な余韻を残して終わっていてなんだかどきどきしました。

『やっぱり罠にはまった。そんな気がする。
この世界の至るところに張りめぐらされた人智の及ばない仕掛けに
ついに足下をすくわれたような。』


それ以外はあまり印象に残らなかったのが正直なところ。
今の私は、こってりした長編小説を読みたい気分なのかも。

■収録作品■
「架空の球を追う」
  夕暮れ時、グランドで練習する少年野球の子どもたちと、それを見守る母親たちの目線。
「銀座か、あるいは新宿か」
  高校時代の友人と年2回集まる会。その場所は銀座がいいか、新宿かで延々と語り合う5人。
「チェリーブロッサム」
  桜並木をバックにカップルから写真を頼まれる。その時男性がトレンチコートの女性を目で追った・・・
「ハチの巣退治」
  ボスの出張中にハチの巣退治を命じられた社員たちは、何でも屋のジョーに電話をかける。
「パパイヤと五家宝」
  スーパーで2000円のパパイヤを簡単にカゴに入れる女性を見つけ、後を追うが・・・
「夏の森」
  100均で買ったカブトムシを森に逃がしに行く途中、小学校の憧れの先生の言葉を思い出す。
「ドバイ@建設中」
  御曹司との婚前旅行で訪れたドバイ。結婚に向けて首尾よく振舞うはずだったのだが・・・
「あの角を過ぎたところに」
  タクシーで移動中、昔通った店がなくなっているのに気付いた。それを聞いたドライバーは突然Uターンした・・・
「二人姉妹」
  ささいなきっかけで気まずくなった姉妹。その二人をまた近づけたのは意外な出来事だった。
「太陽のうた」
  難民キャンプにやってくるNGO関係者のビジターと、そこで暮らす女性との葛藤。
「彼らが失ったものと失わなかったもの」
  バルセロナ空港内のリカーショップで私が迷ったワインを、旅行者の夫妻が買った。その直後・・・

架空の球を追う/森絵都  191P
お気に入り度:★★☆☆☆

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タグ : 森絵都 短編集

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2012.12.16 21:00


『りんごをたくさん買いこんだ。りんごが好き。
「りんごでも食べようか」ということになるあの感じがまず好き。
りんごを四つに切って皮を剥き、剥けるのをみんなで待つ。剥く人に期待集中。
だからといって、それが重荷だというほどの期待感ではないのだし。』


book私の献立帖


食べ物のエッセイを書く人ではダントツ大好きな山本さん。
彼女の書く食べものとは、美味しいお店でもなく、豪華なグルメでもなく。
おうちで家族のためにつくる、ほっかほかのごはん。

用事で帰りが遅くなるといえば、家族のためにちらし寿司をせっせと作り
友達の家に招かれるといえば、中華ちまきを60個(!)も作る。
かと思えば、冷凍庫で見つけた焼売をすまし汁に浮かべて喜んだり
毎朝食べる手作りゼリーを、いろんなジュースで作ってみるお茶目なところもあり。

もちろん食べ物エッセイだとわかって読み始めたのだけど
どのページにも美味しそうな食べ物が、どんどん出てきて
ほんとにおなかがすいて困ってしまったのでした!

バターを塗ったトーストに、たっぷりのせた煮りんご。
うすく敷いたごはんに、削ったかつお節、ちぎったのりをのせ、醤油をまわしかけ、
再びごはんをのせたのり弁。
火を止める直前に、湯葉をぱきぱき割って入れた味噌汁。
高尾山の頂上で食べるおむすびともろきゅう(麦味噌付き)。
冷たい麺の上にあたたかい肉味噌ときゅうりをのせたジャージャー麺・・・

こう書いていてもまたおなかがすいてきて、まるで苦行のようなのです(笑)

そしてもうひとつ、彼女の文章で印象に残ったもの。好ききらいについて。

「食べられないよ。残していい?」と堂々と宣言する子どもに向かって、
わたしは決まってこう言ったものだ。
「きらいだなんて、えばらないの。胸の中で思うだけにしなさいな」
宣言すると、それが現実にこびりついてしまうような気がする。
きらいだきらいだと言っている間は、食べられるようにはならないし
ましてや好きになどならない。
実は、このことは人間関係にも当てはまる。
「わたし、あのひとはきらいよ」
というようなことを、ときどき耳にする。
「あのひと」にわたしが面識もないのに、きらいだなんて話、聞きたくない。


ああ、うまいこと言うなぁ。
人の噂話(特に悪い話)は、話しているお互いが共通する感情だったらありだけど
片方が一方的に、あのひときらい、って言うのってなんかずるいよね。
ほっこりした文章を書く山本さんの、ちょっとぴりっとしたところが
なんか爽快に思えるのでした。

わたしの献立帖―ふだんのごはんのたのしみ/山本ふみこ  173P
お気に入り度:★★★☆☆

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タグ : 山本ふみこ エッセイ 料理

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2012.12.13 01:10


『東京でひとり暮らしを始める前に
まず一度、東京にやってきて
物件探しをしました』


bookひとり暮らしな日々

たかぎさん、といえば「150cmライフ」や「30点かあさん」などで知られる
とってもキュートなイラスト作家さん。
これまでに「愛しのローカルごはん」シリーズを読みましたが
独特の目線がとっても可愛くて。

地方から上京したたかぎさんが、一人暮らしのアパート探しに奔走します。
この路線がいいなーとか、駅から近くてーとか、最初はいろんな条件を言うのだけど
間もなくそれらはとても手が届かないことを悟り、少しずつハードルを下げてたどりついた小さな部屋。
その小さいけど居心地のいい自分の城で、心地良い暮らしを送っていきます。

しゃれたワンプレートに可愛いパンで、が理想だったのに・・・
なんていうちょっと笑えてしまうひとりごはんの写真が載っていたりして
ひとり暮らし、してみたかったなーなんて思ってしまいました。

気取らず、ちんまり楽しく暮らすたかぎさんの毎日が覗けてとっても楽しい本でした。

ひとり暮らしな日々。/たかぎなおこ 127P
お気に入り度:★★★☆☆

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タグ : たかぎなおこ エッセイ 漫画

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2012.10.08 10:51


『去年の暮れから、本格的な山登りを始めました。
きっかけは、去年の夏。登山靴のソールがはがれて
新しいのを買いに登山用具店へ行ったとき
「山の先生」に出会ったのです。』


最近ちょっと興味がある山登りの本を読みました。
著者は「小学生日記」でデビューした華恵さん。
もう大学生になったんですね!
book華恵、山に行く。


ある日、偶然登山用具店で知り合った「おじさん」、今井さんと知り合って
それから何度も山登りを共にします。
ストックの使い方や雪山の登り方、ロープワーク。
彼女はたくさんのことを学び、吸収し、毎月のように山へ出かけます。

彼女の書く文章を読んでいると、とっても不思議な魅力にはまってゆくのですが
それは多分に、彼女のその素直さによると思うのです。

まだ高校生だった彼女、お父さんほど年の離れたおじさんと山にでかけ
たくさんのアドバイスを面倒がらずに聞き入れ、素直に反省する。
そうしておじさんと登った山で、また見ず知らずのおじさんと出会ったときも
彼女は、「山で出会うおじさんと気軽に話せ、笑顔を交わせるのはおじさんといっしよにいるおかげだ」と
感謝し、なつかしい気持ちに浸ってしまいます。

若い頃って、自分もそうだったけどとにかく友達同士で群れていたり
「みんながやってるから」とか「みんなと違うから」って考えで行動しがちだけど
彼女は自分のやりたいことを明確に持っていて、すがすがしくさえ思えます。

そして、いいなぁ、登山!
この本に登場した、日帰りで行ける初心者向きの低山に
さっそく行ってみたくなりました。!

華恵、山に行く。/華恵
お気に入り度:★★★★☆

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タグ : 華恵 エッセイ 登山

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2012.09.23 17:00


『街の様子を眺めながら鈴木は、昆虫のことを考えていた。
夜だというのに、街は暗くない。
暗くないばかりか、物騒がしい。
派手なネオンや街灯が光り、どこを見ても人ばかりだった。
けばけばしい色をした昆虫がうごめいている。』


伊坂さん、実は初めての作家さんです。
bookグラスホッパー

主人公「鈴木」は、2年前に妻を殺した男に復讐するために
彼の父が経営する会社に入社し、非合法的な仕事に手を染めます。

その鈴木のストーリーと、殺し屋の「鯨」「蝉」、そして「槿」のそれぞれの物語が
並行して進んでいきます。


しかし・・・
何と言ったらよいか・・・


結論を言うと、私には合わなかったみたいです(涙)

まずはこういったバイオレンス的なものが生理的に苦手なことと
登場人物に感情移入できる者がいなかったこと。

そして鈴木が妻の復讐のために、身の危険を冒し、違法(すれすれ?)のことまでしているのに
妻の死の描写が詳しく書かれていなかったり、犯人の「馬鹿息子」の姿が見えてこなかったり。

読んでいる途中に「あ、だめかも・・・」って思ったとき
私はそれでも最後まで読んでみるほうなのですが
今回はけっこうそれが長く辛い、試練の時間だったなぁ。

唯一、最後の章だけは、ちょっと人間的な感傷も入ってきてほっとしました。
が・・・・ラストの数行!
「まだ終わってない」的な余韻がぞっとします。

なんとなくイメージとしては、劇画タッチのコミックの印象かな。
感情移入とか、気持ちの揺れ動きなんてものより
テンポとか、凄みみたいなものが重要なのかもしれません。

まったく予備知識ないまま、この作品で伊坂デビューしたのですが
ちょっと入り口を間違えてしまったかな^^;
他の作品にもトライするかどうかは・・・未定です・・・

それと、関係ないですが、「静けさや 岩にしみいる 蝉の声」って句は
さりげなく見えて、実はとっても書きたかったんだろうな(笑)

グラスホッパー/伊坂幸太郎 322P
お気に入り度:★☆☆☆☆

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タグ : 伊坂幸太郎 長編小説

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2012.09.14 03:00


『くまにさそわれて散歩に出る。
川原に行くのである。
歩いて二十分ほどのところにある川原である。
春先に、鴫(しぎ)を見るために、行ったことはあったが
暑い季節にこうして弁当まで持っていくのは初めてである。』


book神様2011

川上弘美さんの、絵本のような可愛い一冊です。

わたしは、なぜか「くま」に誘われて川に散歩に出かけるのですが
なぜにくまと!?という疑問にはまったく答えが返ってきません。

わかるのは、くまはアパートの3つ隣の部屋に越してきたということと
くまはとても礼儀正しいということ。
別れ際に、「抱擁を交わしていただけますか」なんて控えめなことを言ったりします。
なんだか不思議なファンタジーな世界です。

そして実はもう一編、最初とおなじくまとの散歩の設定の物語が添えられています。
ただちがうのが、時代設定が「あのこと」、つまり原発事故直後だということ。

散歩途中で出会う人々は防護服をつけ、川にも子供たちの姿はなく。
散歩から帰ると、くまが放射線量を測ってくれたり。
「あのこと」以前と、一見なにも変わっていないように見えても
あれからすべてが変わってしまった。
そんな事実を改めて痛感させられる短編小説です。

神様 2011/川上弘美  44P
お気に入り度:★★★☆☆

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タグ : 川上弘美 ファンタジー

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2012.09.14 00:00


『何十万という人間がひしめきあって暮らすこの街で、
誰もいない暗くて静かな“寂しい場所”を見つけるのは至難のワザだ。
しかしヤスオが見つけたこの場所は、
奇跡的にその条件をほぼ完全に満たしていた。』


bookKAGEROU

少し前に話題になりましたね。
水嶋ヒロの作家デビュー作。
そういえばあれからどうしたのかしら?
最近見ないけど、今も小説を執筆中なのかな。

発表当初からあまりの酷評に、手に取る気になれなかったのですが
図書館で見かけてなんとなく借りてみました。

ストーリーは、借金苦から自殺を試みるヤスオが
見知らぬ男に止められるところから始まります。
その男がヤスオの自殺を阻止したのには訳があった。
その目的とは…?

あの酷評はちょっとかわいそうな気もしますね。
テーマや、最後のオチも頑張って考えられてるし。
ただやっぱり物足りないんですよね。
私の苦手なケイタイ小説のような「薄さ」が漂っているのです。
会話・話し言葉の多さと、登場人物のヤスオ、キョウヤ、ってカタカナ表記のせいかな。
やたらギャグっぽさを散りばめているのも、無理してるように思えてしまって。
それから医療の描写も、実際を知らないんだろうなって。

内容もうっすら薄味なので(良くも悪くも)、あっという間に読み終えちゃいます。
私は1時間ちょっとで流し読んじゃいました。
あまり考えずにさらさらと読みたい人向きかもしれません。
私の好みではないかな・・・(笑)

KAGEROU/齋藤智裕  236P
お気に入り度:★☆☆☆☆

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